救災害医療活動

第一回:南多摩保健医療圏 地域災害医療連会会議

更新日時: 2012/07/06  カテゴリ: 災害医療活動の詳細

私どもは、5月中旬に東京都から地域災害医療コーディネーター施設に指名され、できるだけ早期に会議を立ち上げるよう命じられました。

本当にこのような規模の会議を主催できるのか不安でしたが、病院長はじめ八王子医療センターの協力と救命救急センタースタッフの頑張りで、なんとか開催することができました。錚々(そうそう)たるメンバーにお集まり頂き、感謝いたします。

都や各市の医師会、歯科医師会、薬剤師会、看護協会、また各市役所の防災課や健康課、さらには市の保健所や南多摩保健所、東京消防庁、稲城市消防そして災害拠点病院や救急告示病院、その他の医療圏のコーディネーターなど、100名を超えるご参加を頂きました。

今、何かを始めなければならない

このたび、東京都の災害対策の一部が新しくなりましたが、私自身は、なかなか理解できないというか、雲をつかむようなイメージでした。というのも、『地域災害医療コーディネーターはコレをやってください、そうすれば必ず良い結果になる』、という明確な方針を、東京都が教えてくれたわけではないからです。

そもそも、都であれ、市町村であれ、災害に対する備えや対策は、あまりにも災害という相手が甚大きすぎる為、何かをやれば万全と言う方法論が無い世界です。それを都も十分解かったうえで、『あとは地域ごとに検討を』ということなので、正直、困惑する部分は大いにありました。責任は感じつつも、ゴールが見えない状況です。

だいたい、『なぜ保健医療圏で分けるのか?』、『災害医療コーディネーターの役割が見えない・・・』、といったご批判も多々あります。しかし、結局行きつくところは、やはり誰かが、“まとめ役”になって、何かを始めなければならない、ということに間違いはないので、その点で、私自身は、今となっては覚悟を決めて、取り組もうと思っています。

ただし、医療圏のコーディネーターよりもっと重要な存在として、各市に災害医療コーディネーターの設置が必要です。

もともとの宮城県モデルは、行政の災害対策本部に医師が入ることで、災害医療の助言など重要なサポートができた、というものです。なので、各市の災害医療コーディネーターはそのモデルの通りです。

会議でご発言いただいた、町田市保健所の大井所長が仰たように、医療圏全体の災害対策は、まずは各市の災害対策をしっかり作り上げることから始まる、というポイントを明確にしたいです。各市の災害医療コーディネーターは、平時から各市の災害対策の構築に貢献するべき、重要なポジションです。

しかし私のような医療圏のコーディネーターには、入ってゆく(行政の)災害対策本部がありません・・・。その代わりに自分の病院に本部を作ってください、と都から依頼されています。しかし病院内に、これだけ大規模な情報を集約するためのモノやヒトが集まる中枢を作ることって、本当にできるのでしょうか?そのためには莫大な予算が必要です・・・。

また、災害医療センターの井上先生が仰たように、災害対策全体の中から医療だけを切り離し、医療圏単位で中枢を作ったとしても、それが本当に機能するかどうかはわからない、というのが最大の懸念材料です。しかし、都庁だけでは全てをカバーできないので“地域で分担しましょう”、というコンセプトも頷けるため、そこで、思考が行き詰まってしまいます。

まずは『通信網の整備』から

私は医療圏のコーディネーターとしてこのような問題を自覚しながらも、しかし、今できることを模索しています。

地域行政が医師会や薬剤師会や保健所と作ってきた既存の災害医療に、私が何を上乗せできるのか?・・・たとえば、今回のような“顔の見える”会議体を立ち上げ、それを維持することは、私の大事な役目であり、東京都の狙いなのかもしれません。

そのうえで、今後の具体的な取り組みのイメージとしては、少なくとも、各医療機関や自治体をつなぐ『通信網の整備』が急務と思います。この通信網をまず整備して、そして『通信訓練』を実施する、といった普遍的に重要な課題が実現するよう、私が率先して医療圏のコーディネーターとしてイニシアティブをとらせて頂きます。

ただし、難しい点として、今回の新体制は、東京都も “明日発生しても不思議でない” 大災害に対して、システムを『ゆっくり準備して作りあげる』のではなく、『急ぎ立ち上げ、流動的に形作ってゆく』方針なので、我々のように他より早く立ち上がった(12医療圏中2番目)医療圏は、未確定要素が多くて前進できない、という事情があります。

具体的に言うと、今後我々は『通信体制をこのように整備したい』という提案を、都に要望することになりますが、他の医療圏の立ち上げを待つため、来年度予算には間に合わなさそうです。早く立ちあがった分早急に予算をもらって、モデル事業的な体制整備をしたい、という前向きな意見もありますが、それはあくまで都との相談です。

『各市がこれまでどのように災害対策を考えてきたか』

したがって、まず今回の会合テーマとしては、決定事項はとくに行わず、互いに顔合をあわせ、『各市がこれまでどのように災害対策を考えてきたか』、ということを、互いにプレゼンテーションして頂きました。

各市とも市民の安全を守るため綿密な災害対策を考えておられていることがわかりました。しかしとくに超急性期(72時間)の災害医療は、東京都も区部も含めて、どの自治体も未完成という実情を、互いに理解できたことが、この会議を今後継続するための、良いスタートラインになったと思います。

初会合を終え、これからの展開

初会合以降は、実務的にコアなメンバーの方にお願いして、メーリングリストを立ち上げたいと思います。お忙しい皆さんに、私から発信し、双方向性の前向きな議論を進める上で、メールは現実的なツールだと思っています。

さらに、次回の会議までに、各市の災害医療コーディネーターを決定していただきたく、もちろん即決は難しいと存じますが、各市で検討をお願いします。災害医療コーディネーターは大変な仕事に間違いないので、「私がやりましょう!」と手を挙げてくださる先生に、ぜひともお願いしたいと考えています。

長くなりましたが、月並みな言葉ですが、大災害時に、一人でも多くの命を救えるように、南多摩医療圏の皆さまと一緒に力を合わせて進めていきたいと思います。今後とも、よろしくお願いします。


南多摩保健医療圏地域災害医療コーディネーター 新井 隆男




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