医療従事者向け ポケットガイド

表1.疑わしい感染症別の経験的治療薬

更新日時: 2013/02/28  カテゴリ: ポケットガイド, 感染症

(日本版敗血症診療ガイドライン2012をさらに簡潔にまとめつつ、補足も行いました)

考えやすい原因 想定される原因菌 推奨薬 注意事項
市中肺炎 ●緑膿菌リスク無し
肺炎球菌,インフルエンザ桿菌,レジオネラ,マイコプラズマ
●緑膿菌リスク無し
CTRX:セフトリアキソン(CTX:セフォタキシム) またはSBT/ABPC:スルバクタム/アンピシリン
+AZM:アジスロマイシン
◆過去3カ月以内の抗菌薬使用歴のある患者,過去3カ月以内に2日以上の入院歴のある患者,および維持透析患者は医療行為関連肺炎として治療
◆市中型MRSAの可能性があればVCM+CLDM:バンコマイシン+クリンダマイシンまたはLZD:リネゾリドを併用
●緑膿菌リスク有り
上記に加えて,緑膿菌等の病院型グラム陰性桿菌
●緑膿菌リスク有り
CFPM:セフェピム,TAZ/PIPC:タゾバクタム/ピペラシリン,MEPM:メロペネム(DRPM:ドリペネム, IPM/CS:イミペネム/シラスタチン)
+AZM:アジスロマイシン
人工呼吸器関連肺炎,
院内肺炎,
医療行為関連肺炎
●緑膿菌リスク無し
肺炎球菌,インフルエンザ桿菌,MSSA,感受性のある大腸菌や肺炎桿菌
●緑膿菌リスク無し
CTRX:セフトリアキソン(CTX:セフォタキシム)またはSBT/ABPC:スルバクタム/アンピシリン
◆抗MRSA薬の併用は,原因菌としてMRSAの可能性が高いと判断された場合に。
◆アミノグリコシドの併用には議論もあり。特にバンコマイシンとの併用下における腎障害の可能性に注意
●緑膿菌リスク有り
上記に加えて,緑膿菌を含む病院型のグラム陰性桿菌,MRSA
●緑膿菌リスク有り
CFPM:セフェピム,
TAZ/PIPC:タゾバクタム/ピペラシリン,MEPM:メロペネム(DRPM:ドリペネム, IPM/CS:イミペネム/シラスタチン)
以下の併用を考慮
±VCM:バンコマイシンまたはLZD:リネゾリド
±AMK:アミカシン
市中尿路感染症 主に大腸菌 ABPC:アンピシリン+GM:ゲンタマイシン
または
CTRX:セフトリアキソン(CTX:セフォタキシム)
 
カテーテルや
医療行為関連尿路感染症
大腸菌,緑膿菌,腸球菌 TAZ/PIPC:タゾバクタム/ピペラシリン,
MEPM:メロペネム(DRPM:ドリペネム,
IPM/CS:イミペネム/シラスタチン)
またはCPFX:シプロフロキサシン
± GM:ゲンタマイシン
またはAMK:アミカシン
緑膿菌を含むグラム陰性桿菌および腸球菌のカバーを外すべきではない
カテーテルや
医療行為関連血流感染症
表皮ブドウ球菌,黄色ブドウ球菌(MRSAも含む),緑膿菌を含む病院型のグラム陰性桿菌 VCM:バンコマイシン

CFPM:セフェピム,TAZ/PIPC:タゾバクタム/ピペラシリン,
MEPM:メロペネム(DRPM:ドリペネム, IPM/CS:イミペネム/シラスタチン)
±
GM:ゲンタマイシンまたはAMK:アミカシン
±
FLCZ:フルコナゾールまたはMCFG:ミカファンギン
 
市中発症腹腔内感染症 バクテロイデス等の嫌気性菌,大腸菌等の感受性のグラム陰性桿菌 ABPC/SBT:アンピシリン/スルバクタム 緑膿菌リスクがある場合、TAZ/PIPC:タゾバクタム/ピペラシリンを考慮
院内発症腹腔内感染症 上記に加えて,緑膿菌等の病院型グラム陰性桿菌 TAZ/PIPC:タゾバクタム/ピペラシリン,
MEPM:メロペネム(DRPM:ドリペネム,
IPM/CS:イミペネム/シラスタチン)
±
VCM:バンコマイシン
±
FLCZ:フルコナゾールまたはMCFG:ミカファンギン
 
複雑性皮膚軟部組織感染症 ●市中発症で下記のリスク無し
レンサ球菌,MSSA,クロストリジウム
●市中発症で下記のリスク無し
PCG:ベンジルペニシリン+CLDM:クリンダマイシン
◆市中型MRSAが臨床的,疫学的に想定される場合LZD:リネゾリド併用
●海水・淡水への暴露
Aeromonashydrophila, Vibrio vulnificus
●海水・淡水への暴露
MEPM:メロペネム(DRPM:ドリペネム, IPM/CS:イミペネム/シラスタチン)

CPFX:シプロフロキサシン
●糖尿病壊疽,虚血肢,医療行為関連

黄色ブドウ球菌,緑膿菌等の病院型グラム陰性桿菌
●糖尿病壊疽,虚血肢,医療行為関連
TAZ/PIPC:タゾバクタム/ピペラシリン,
MEPM:メロペネム(DRPM:ドリペネム, IPM/CS:イミペネム/シラスタチン)
±
LZD:リネゾリド
市中発症髄膜炎 肺炎球菌,髄膜炎菌 高用量CTRX:セフトリアキソン(2g 12時間毎)(高用量CTX:セフォタキシム2g4時間毎)

高用量VCM:バンコマイシン(20mg/kg12時間毎)

アシクロビル
◆50歳以上,免疫不全,アルコール依存のある場合,Listeria monocytogenesを考慮し高用量ABPC:アンピシリン(2g 4時間毎)を併用
◆抗菌薬開始前にデキサメタゾン0.15mg/kg静注(2~4日間継続)
脳神経外科術後髄膜炎 MRSAを含む黄色ブドウ球菌,緑膿菌を含む病院型グラム陰性桿菌 高用量VCM:バンコマイシン(20mg/kg12時間毎)

高用量CFPM:セフェピム(2g 8時間毎)または高用量MEPM:メロペネム(2g 8時間毎)
 
発熱性好中球減少症 緑膿菌を含む病院型グラム陰性桿菌,MRSAを含む黄色ブドウ球菌 CFPM:セフェピム,TAZ/PIPC:タゾバクタム/ピペラシリン,
MEPM:メロペネム(DRPM:ドリペネム, IPM/CS:イミペネム/シラスタチン)

VCM:バンコマイシン
±
AMK:アミカシン
 
市中発症でフォーカスが不明 肺炎球菌,髄膜炎菌および大腸菌等の感受性グラム陰性桿菌 ●細菌性髄膜炎が否定できない
高用量CTRX:セフトリアキソン(2g 12時間毎)(高用量CTX:セフォタキシム2g4時間毎)

高用量VCM:バンコマイシン(20mg/kg12時間毎)

アシクロビル

GM:ゲンタマイシン(7mg/kg 1回のみ)
◆感染症専門医コンサルト
◆50歳以上,免疫不全,アルコール依存のある場合で細菌性髄膜炎が否定できない場合,Listeria monocytogenesを考慮し高用量ABPC:アンピシリン(2g 4時間毎)を併用
●細菌性髄膜炎は否定的
CTRX:セフトリアキソン(CTX:セフォタキシム)+GM:ゲンタマイシン(7mg/kg 1回のみ)
院内発症(または医療行為関連)でフォーカスが不明 緑膿菌等の病院型グラム陰性桿菌,MRSAを含む黄色ブドウ球菌 CFPM:セフェピム,TAZ/PIPC:タゾバクタム/ピペラシリン,
MEPM:メロペネム(DRPM:ドリペネム, IPM/CS:イミペネム/シラスタチン)

VCM:バンコマイシン
±
AMK:アミカシン
◆ 感染症専門医コンサルト

※一般名・商品名一覧(略語アルファベット順)

  • AMK:アミカシン(=硫酸アミカシン)
  • AZM:アジスロマイシン(=ジスロマック)
  • CFPM:セフェピム(=マキシピーム)
  • CLDM:クリンダマイシン(=ダラシンS)
  • CPFM:シプロフロキサシン(=シプロキサン)
  • CTRX:セフトリアキソン(=ロセフィン)
  • CTX:セフォタキシム(=クラフォラン、セフォタックス)
  • DRPM:ドリペネム(=フィニバックス)
  • FLCZ:フルコナゾール(=ジフルカンカプセル)
  • GM:ゲンタマイシン(=ゲンタシン)
  • IPM/CS:イミペネム/シラスタチン(=チエナム)
  • LZM:リネゾリド(=ザイボックス)
  • MCFG:ミカファンギン(=ファンガード)
  • MEPM:メロペネム(=メロペン)
  • PCG:ベンジルペニシリン(=ペニシリンGカリウム)
  • SBT/ABPC:スルバクタム/アンピシリン(=ユナシンーS)
  • TAZ/PIPC:タゾバクタム/ピペラシリン(=タゾシン)
  • VCM:バンコマイシン(=塩酸バンコマイシン)

« :前の記事

次の記事: »

お問い合わせ

ポケットガイドの内容に関してのお問い合わせは 【y-nishi@tokyo-med.ac.jp】までへメールをお送りいただくかこちらのメールフォームをご利用ください。
【※メールでの診療に関するお問い合わせはお答えすることができません】

お名前 ※必須

企業・団体名など

メールアドレス ※必須

内容 ※必須

ページの先頭へ戻る